外貨建て保険のデメリットは何か|50代が契約前に確認する為替・手数料・解約時の5つの数字

お金の相談

積立利率だけでは、実際に手元へ戻る円の額はわかりません。契約前に確認したい数字は、為替手数料・契約時の費用・解約控除・目標到達型の仕組み・破綻時の補償の5つです。

退職金の入金や、それまで入っていた保険の満期をきっかけに、銀行や保険会社の窓口で外貨建て保険を勧められた、という方は少なくありません。パンフレットに書かれた「積立利率◯%」という数字を見ると、増えていくお金のように感じられます。

しかし、実際に自分の手元へ戻ってくる円の額は、この利率だけで決まるわけではありません。為替の動きに加えて、契約時にかかる費用や、途中で解約した場合に差し引かれる金額など、パンフレットの表面には出てこない要素が関わってくるからです。

この記事では、外貨建て保険が「良い」か「悪い」かを断定するのではなく、契約する前に自分で確認しておきたい5つの数字を整理します。それぞれ提案書や契約締結前交付書面のどこに書かれ、どう読めばよいかを見ていきます。

窓口でその場で返事をする前に、一度持ち帰って確認するための材料として使ってください。すでに契約している方にとっても、いま手元にある契約の中身を読み解く手順になります。

外貨建て保険のデメリットは、パンフレットの「利率」だけでは見えない

パンフレットに書かれた「積立利率」は、外貨建ての元本に対して増えていく利率です。契約者が最終的に受け取るのは円ですが、そこに至るまでに為替と費用という、利率とは別の要素が加わります。

仕組みを分解すると、円で払い込んだ保険料はまず外貨に交換されます。その外貨の元本に利率が付き、満期や解約のときに再び円へ戻されます。円→外貨→円という二回の交換のたびに、為替レートの差と手数料が発生する構造です。

さらに、利率が付く前の元本そのものが、契約初期の費用や解約時の控除によって払込額より少なくなっています。積立利率は、この目減りした後の外貨の元本に対して計算される数字です。

つまり、パンフレットの利率だけを見ても、実際に手元へ戻る円の額を予測することはできません。次の章から、確認すべき5つの数字を順に見ていきます。

  • 為替手数料と適用為替レート(TTS/TTB)
  • 契約初期費用・保険関係費・資産運用関係費
  • 解約控除(市場価格調整=MVAを含む)
  • 目標到達型(ターゲット型)の据え置き
  • 保険会社が破綻した場合の補償基準

①為替手数料と適用為替レート(TTS/TTB)を確認する

外貨建て保険では、円と外貨の交換が最低でも2回発生します。保険料を払い込むときは円を外貨に換えるレート(TTS)、解約や満期で受け取るときは外貨を円に戻すレート(TTB)が適用されます。払い込みと受け取りで使うレートが異なる点が、外貨建て特有の為替コストです。

この往復のたびに、為替手数料(スプレッド)が差し引かれます。手数料は「1通貨単位(1米ドルや1豪ドルなど)あたり何円か」という形で、提案書や契約締結前交付書面に記載されているのが一般的です。

たとえ契約時と解約時で為替レートの水準が同じでも、TTSとTTBの差だけで費用が生じます。円高・円安の動きとは別に、往復の交換そのものにコストがかかる仕組みだと理解しておく必要があります。

確認しておきたいのは、払い込み時と受け取り時、それぞれに適用される為替手数料の水準と、どの為替レートを基準に計算されているかです。水準は保険会社・商品・通貨によって異なるため、この記事では一般値を示しません。

窓口では、パンフレットの積立利率だけでなく、提案書のどこに1通貨単位あたりの為替手数料が書かれているかを、その場で指さして確認してもらうことが最初の一歩になります。

②契約初期費用・保険関係費・資産運用関係費を確認する

積立利率が適用される前の外貨建て元本は、すでに払込保険料そのものではありません。契約から一定期間、いくつかの費用が差し引かれた後の金額に対して、利率が計算されています。

保険業法は、契約締結前交付書面等でこうした費用やリスクを契約者に説明することを保険会社に義務づけています。提案書や契約締結前交付書面には、費用の名称ごとに記載欄が設けられているのが一般的です。

確認したい費用の名称は、主に次の3つです。

  • 契約初期費用(契約後の一定期間、保険料から差し引かれる費用)
  • 保険関係費(死亡保障などの保障部分にかかる費用)
  • 資産運用関係費(外貨建てで資産を運用・管理するための費用)

これらの費用がいつ・どの期間・どの程度差し引かれるかは、保険会社や商品によって異なります。一般値として示すことはできないため、提案書のどの欄にこの3つの名称が記載されているかを、契約前に確認することが手順になります。

契約締結前交付書面は、加入を検討している段階でも取り寄せて読める書類です。積立利率の数字だけでなく、この書面の費用に関する記載を先に確認しておくと、実際に増えていく元本の大きさをより正確に把握できます。

③解約控除(市場価格調整=MVAを含む)は何年目まで・どの程度か

契約から間もない時期に解約すると、戻ってくる解約返戻金は、払い込んだ保険料の元本より少なくなることがあります。この目減りの主な原因が「解約控除」と、市場金利の変動に応じて増減する「市場価格調整(MVA)」です。

解約控除は、契約後の一定期間に解約した場合だけ差し引かれる費用です。多くの商品は経過年数とともに率が下がり、一定年数を過ぎると発生しなくなる設計になっています。

MVAは仕組みが異なります。契約時と解約時の市場金利の差によって、上乗せ・差し引きのどちらの方向にも働く点が、解約控除との違いです。

経過年数と控除の関係を、一般的な傾向として表にまとめました。具体的な率は商品ごとに異なるため、あくまで目安としてご覧ください。

契約からの経過年数 解約控除・MVAの傾向
契約〜数年以内 解約控除が発生する商品が多い
控除期間の経過後 解約控除は発生しなくなる商品が多い
控除の有無にかかわらず MVAは市場金利差により全期間で増減しうる

正確な期間と率は、公益財団法人生命保険文化センターの解説を踏まえても商品ごとに異なります。提案書または契約締結前交付書面の「解約控除」「市場価格調整」の欄で、ご自身の契約(検討中の契約)の年数と率を確認してください。

国民生活センターには、解約控除やMVAについての説明が不十分なまま契約した、という相談も寄せられています。

すでに外貨建て保険を契約している方は、この解約控除の期間を過ぎているかどうかが、解約・減額・払済・延長のどれを選ぶかを考える材料になります。具体的な4つの手段の比較は、こちらで整理しています。

④目標到達型(ターゲット型)は、目標到達後に増えなくなる

外貨建て保険のなかには、あらかじめ目標とする外貨建ての金額(目標値)を設定する「目標到達型(ターゲット型)」があります。積立金が為替や運用によって目標値に達すると、その時点で自動的に円建ての資産に移り、運用は終了します。

目標到達後は、円建てで確定した金額のまま保険期間の満了を待つ設計です。目標値に到達した後は、それ以上増えることはありません。目標値に届かないまま満期や解約の時期を迎えた場合は、外貨建てのまま据え置かれ、為替の影響を受け続けます。

目標到達型かどうか、目標値の設定方法、到達後の資産の扱いは、提案書や契約締結前交付書面で確認できます。窓口では、目標到達後に運用が止まる設計であることを、その場で確認しておきたい点です。

退職金の入金をきっかけに窓口で勧められる商品には、円建ての退職金専用定期預金もあります。こちらは為替リスクがない代わりに、優遇金利が適用される期間があらかじめ決まっている仕組みで、外貨建て保険の目標到達型とは、増える・止まる条件の作られ方が異なります。

⑤保険会社が破綻した場合、補償されるのは保険金額ではない

保険会社が破綻した場合、生命保険契約者保護機構による補償の対象になります。ここで確認したいのは、補償の基準が「契約時の保険金額」ではなく、破綻時点の「責任準備金等」だという点です。

補償対象契約は、高予定利率契約を除き、責任準備金等の90%までと定められています。この90%が上限であり、契約時の保険金額がそのまま戻ってくるわけではありません。

高予定利率契約とは、破綻時から遡る過去5年間、予定利率が基準利率を常に上回っていた契約です。該当すると、補償割合は90%からさらに引き下げられます。外貨建て保険は運用利率を円建てより高く設定した商品が多く、この高予定利率契約に当たる可能性がある点も確認材料になります。

外貨建ての契約であっても、責任準備金等を基準とする補償の枠組み自体は変わりません。ただし、実際の商品性(為替レート・費用構造)は保険会社・商品ごとに異なります。

外貨建て保険は、制度面でも注意を要する商品として扱われています。生命保険協会は2020年度に「外貨建保険販売資格制度」を設け、2022年度から資格試験に合格した募集人を対象とする資格者登録制度の運用を開始しています。金融庁も販売会社に対して継続的にモニタリングを行っています。

窓口担当者がこの資格を持っているかどうかも、確認しておいて損はない点です。

その場で即答しない。持ち帰って聞く質問

窓口でその場で返事をせず、契約締結前交付書面を持ち帰ることが最初の一歩です。持ち帰った書類は、次の5つの質問に沿って読み進めると確認しやすくなります。すでに契約している場合は、この5つを踏まえたうえで、続ける・払済にする・解約するという順序で検討します。

  • 払い込み時と受け取り時、それぞれの為替手数料は1通貨単位あたり何円ですか
  • 契約初期費用・保険関係費・資産運用関係費は、それぞれいつ・どの程度差し引かれますか
  • 解約控除とMVAは、何年目まで・どの程度発生しますか
  • 目標到達型の場合、目標値と到達後に運用が止まる条件は何ですか
  • 破綻時の補償は責任準備金等の何%が基準ですか、高予定利率契約に該当しますか

すでに契約している方は、まず解約控除の期間を過ぎているかを確認します。期間内であれば、解約より先に払済や継続を検討する順序になります。

解約返戻金や満期保険金を受け取る際の税金の扱いは、契約形態によって分かれます。一時所得として計算される場合(国税庁タックスアンサーNo.1755)と、一時払い養老保険等の金融類似商品として源泉分離課税になる場合(No.1520)があります。

どちらに該当するかは契約内容によって異なるため、ここでは断定しません。

自分の契約がどちらに当たるか、この5つの質問への回答で判断しきれない場合もあります。その場合は、金融機関の提案が妥当かをセカンドオピニオンで確認する方法や、保険見直しの相談先を検討します。相談先ごとの収益構造はこちらで整理しています。

まとめ:利率ではなく、5つの数字で確認する

窓口で提示される「積立利率」は、外貨建て保険の一面にすぎません。実際に手元へ戻る円の額を左右するのは、利率よりもむしろ、為替手数料・費用・解約控除・目標到達後の扱い・破綻時の補償という5つの数字です

この記事で確認した5つの数字を、あらためて並べます。

  • 払い込み時と受け取り時の為替手数料(TTS/TTB)
  • 契約初期費用・保険関係費・資産運用関係費
  • 解約控除・市場価格調整(MVA)の適用期間と水準
  • 目標到達型の目標値と、到達後に運用が止まる条件
  • 破綻時に補償される責任準備金等の基準

いずれも、パンフレットの利率欄ではなく、提案書や契約締結前交付書面の別の欄に記載されています。窓口の説明だけで判断せず、この5つを自分の目で確認してから返事をすることが、契約前にできる最も確実な一歩です。

すでに契約している方も、この5つの数字を読み直すことで、続けるか見直すかを考える材料になります。

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