年金は結局いくらもらえるのか ─ ねんきん定期便の見方と、次に相談すべきこと

お金の相談

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「老後は2000万円必要」といった数字は、もう何度も目にしていると思います。ただ、この手の話はたいてい、いくら足りないか、いくら用意すべきか、という支出側・不足側の話です。

一方で、その足りるかどうかを判断するには、もう一方の数字が要ります。自分は結局、年金をいくらもらえるのか。この収入側の数字を、はっきりと握れている50代は、意外と少ないのではないでしょうか。総額の情報はあふれているのに、自分の足元の数字だけが空欄のまま、という状態です。

この記事では、まず自分の年金の見込み額をどこで確認するか、次に確認した数字をどう受け止めるか、そして足りるか不安になったら次に何をすればいいかを、順番に整理します。特定の保険や金融商品、金融機関を勧める記事ではありません。まず自分の数字を握る、その入口をお渡しするのが目的です。

この記事の要点

  • ねんきん定期便で年金の見込み額を確認する
  • 見込み額と生活費の差額を出す
  • 不足分の埋め方は相談で判断する

先に結論 ─ やることは3ステップ

細かい話に入る前に、順序を先に置きます。年金がいくらもらえるかを不安なまま抱える代わりに、やることは次の3つです。

  • 1つ目は、ねんきん定期便で「見込み額」を確認すること。 毎年届くこの通知に、自分の年金の見込み額が書かれています。まずはこれを開いて、自分の数字を目で見るところから始めます。
  • 2つ目は、その見込み額と、自分の生活費との差を出すこと。 世間の総額(2000万など)ではなく、自分の年金額と自分の暮らしを突き合わせます。ここで初めて、自分にとって足りるのか足りないのか、足りないならどのくらいかが見えてきます。
  • 3つ目は、足りない分の埋め方は「相談」の領域だと割り切ること。 不足を埋める手段(働き方・資産形成・保険など)は種類が多く、人によって向き不向きが違います。ここは一人で抱え込まず、後述するように相談先を使い分ける段階です。

この3つの順番が大事です。多くの人は1つ目と2つ目を飛ばして、いきなり3つ目の「埋め方」から入ろうとします。自分の年金額も、生活費との差も分からないまま、保険や運用の話に飛びつく。これでは、何をどれだけ埋めればいいのかが決まらないまま動くことになります。まず土台の数字を握る。順序はここからです。

① ねんきん定期便で、見るべきところ

毎年、誕生月あたりに「ねんきん定期便」が届きます。封筒やはがきの形で送られてくる、公的な通知です。何気なく仕舞い込んでいる方も多いと思いますが、自分の年金額を握る出発点は、まずここにあります。

見るべき箇所は、大きく分けて次のようなものです。

  • これまでの年金加入記録(いつ、どの制度に加入していたか)
  • これまでに納めた保険料の額
  • 年金の見込み額(将来受け取れる年金の目安)

このうち、いちばん気になるのは3つ目の見込み額だと思います。ここで一つ、知っておいたほうがいいことがあります。この「見込み額」の意味が、年齢によって違うという点です。

おおまかに言うと、一定の年齢以上の方に届くねんきん定期便では、今の加入状況がこのまま続いた場合に受け取れる見込み額が示される仕組みになっています。一方、それより若い方に届くものでは、これまでの加入実績に応じた額が示される建て付けです。

つまり、若い時期に見た数字と、ある程度の年齢になってから見た数字は、同じ「見込み額」でも前提が異なります。前者は「今までの実績分」、後者は「この働き方を続けたらこうなる」という見立てに近い。50代でご自分の定期便を見るときは、それが「今の加入がこのまま続いた場合」の見込みなのかどうかを、記載の但し書きで確かめておくと、受け取り方を間違えずに済みます。

もっと細かく試算したい場合は、インターネット上で自分の年金記録を確認したり、条件を変えて見込み額を試算したりできる公的なサービスも用意されています。ねんきん定期便でおおよその全体像をつかみ、より詳しく見たくなったらそちらで試算する、という順序で十分です。

なお、ここでは具体的な金額や、何歳でこう変わる、といった数字はあえて書きません。年金額は加入してきた制度や期間、働き方によって人ごとに大きく違い、一本の数字で言い切れるものではないからです。大事なのは、平均や他人の額ではなく、自分の定期便に書かれた自分の数字を見ることです。

② 確認した額を、どう受け止めるか

見込み額を確認できたら、次はその数字の読み方です。ここでも、勘違いしやすい点がいくつかあります。

見込み額、2つの注意点

一つは、年金の額面と、実際に使えるお金(手取り)は違うということです。年金も、内容によっては税金や社会保険料の対象になり得ます。見込み額をそのまま丸ごと生活費に回せる、と考えていると、後で目減りに気づくことがあります。細かい計算は専門家の領域ですが、「額面イコール手取りではない」という一点は、頭の隅に置いておいたほうがいい視点です。

もう一つは、受け取り方によって、もらえる額が変わる仕組みがあるということです。年金は、受け取りを早める、あるいは遅らせるといった選択に応じて、受け取れる額が変わる建て付けになっています。どちらが得かは、その人の健康状態や、いつまで働くか、他にどんな収入があるかによって変わり、一律の正解はありません。

ここでも具体的な増減の割合には踏み込みませんが、「受け取り方は一通りではなく、選択で変わる」という前提を知っておくと、後の相談で話が早くなります。

要するに、ねんきん定期便の見込み額は、あくまで「素の目安」です。そこから税・社会保険料の分を差し引いて考える必要があり、受け取り方によっても動く。だからこそ、その数字を出発点にして、次のステップへ進みます。

③ 足りるか不安になったら、次にやること

自分の年金の見込み額が見えると、たいていの人は次にこう思います。「これで、足りるのだろうか」。

その不安に答えるためにやることは、実はシンプルです。見込み額と、自分の毎月の生活費を突き合わせて、差を出す。 これだけです。年金でまかなえる部分と、まかなえない部分がいくらなのか。世間で言われる総額ではなく、自分の暮らしを基準に、自分の不足額を出します。

ここで、順番を間違えないでほしいのです。不安になると、多くの人は不足額を出す前に、保険や運用といった「埋める手段」に手を伸ばします。何かに入れば安心できる気がするからです。けれど、いくら足りないのかが分からないまま埋めようとすると、多すぎたり少なすぎたりして、後で調整が効かなくなります。

まず見るべき「構造」

目先の安心に飛びつく前に、まず構造を見る。ここでの構造とは、「自分の年金額」と「自分の生活費」という二つの数字の関係です。この差がはっきりして初めて、何を、どのくらい、どんな手段で埋めるかを決められます。

埋め方には、働き方を見直す、資産を育てる、保険で備える、といったいくつもの方向があり、どれが向いているかは人によって違います。だからここから先は、一人で決め込むより、相談の領域に入っていく段階になります。

④ 相談先は、種類ごとに得意分野が違う

不足を埋める段になると、「じゃあ誰に相談すればいいのか」という問いが出てきます。ここで知っておきたいのは、相談先には種類があり、それぞれ得意な分野が違うということです。

年金や公的制度の確認が得意なところ、税金まわりが得意なところ、家計全体の設計が得意なところ、具体的な商品の話が得意なところ。同じ「お金の相談」でも、扱える範囲は相手によって変わります。自分の不足額を埋めるのに、どの種類の相手が合っているのか。ここを取り違えると、相談したのに求めていた答えが返ってこない、ということが起きます。

相談先の種類ごとの違いや、選び方の見取り図は、別の記事で整理しています。自分の年金額と不足額が見えて、次は相談先を選ぶ段階だ、という方は、そちらをご覧ください。

50代のお金の相談先はどこがいい?収益構造で見る4類型と選び方

また、置かれた状況によって、先に読んでおくと近道になる記事もあります。

相談先の種類を絞り込む前に、一度だけ専門家に数字を見てもらう、という進め方もあります。

年金・貯蓄の無料相談(ガーデン)は、年金がいくらもらえるのか、老後資金の不足をどう埋めるかといった相談を無料で受け付けている窓口です。

ねんきん定期便を手元に置いた状態で臨むと、話が具体的になりやすいです。面談は1時間程度が想定されています。ただし、未成年・学生・無職の方は対象外とされています。

すでに退職している場合は、申込の前に利用できるかどうかを確認してください。

まとめ ─ まず収入側の数字を握ってから動く

老後のお金の話は、どうしても「いくら足りないか」という支出側から入りがちです。ですが、足りるかどうかを判断するには、まず自分がいくらもらえるのか、という収入側の土台を数字で握る必要があります。

やることは、ねんきん定期便で見込み額を確認し、その額と自分の生活費の差を出し、足りない分の埋め方は相談で詰める。 この順番です。数字も見ないうちに安心を買いに走るより、遠回りに見えても、自分の土台を確かめてから動くほうが、結局は確実です。

私自身、数字を扱う場面を長く見てきて感じるのは、不安の多くは「分からない」から来ている、ということです。金額そのものより、自分の数字を知らないことが不安を大きくしている。だとすれば、最初の一歩は、いちばん身近な通知を一枚、あらためて開いてみることかもしれません。同じ50代で、同じところで足を止めている方の、順序を決める助けになればと思います。

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