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50代になって、「そろそろNISAかiDeCoを始めた方がいいのでは」と考える方は多いと思います。老後まで残された時間を意識し始めると、置いておくだけのお金を、少しでも働かせておきたくなる。ただ、いざ調べ始めると、出てくるのは「おすすめ口座ランキング」や「無料で始め方が分かる相談会」ばかりで、結局どこに相談すればいいのか分からなくなります。
先にお伝えすると、この記事は特定の口座やサービスを勧めるものではありません。銘柄の選び方や口座開設の手順を解説する記事でもありません。それらの「始め方」より一つ手前で、多くの人がつまずくからです。誰に相談し、その相手の言うことをどこまで信じていいのか。ここを飛ばして「無料」「有名」で相談先を選ぶと、始めた後で「思っていた話と違った」となりやすい。
代わりにここでは、NISA・iDeCoの相談先を見極めるための視点を整理します。手がかりは、お金の相談全般と同じで、目の前の相手の「収益構造」です。誰から報酬を得て、何が売れると成り立つのか。始め方を知る前に、まずこの物差しを持ち帰ってください。
この記事の要点
- 相談先を「収益構造」で見ること
- 「無料」の成り立ちを先に確認すること
- 相談に行く前に、自分の目的をざっくり決めておくこと
先に結論 ─ 相談の前にやることは3つ
細かい話に入る前に、結論を置きます。NISA・iDeCoの相談に動く前に、やっておくと失敗しにくいことが3つあります。
- 1つ目は、相談先を「収益構造」で見ること。 同じ「無料相談」でも、誰から報酬を得ているかで、提案の傾きは変わります。相手が感じよくても、ここは別問題です。
- 2つ目は、「無料」の成り立ちを先に確認すること。 無料それ自体が悪いのではなく、なぜ無料で成り立つのかを見ないまま入り口の安心だけで選ぶと、出口を見落とします。
- 3つ目は、相談に行く前に、自分の目的をざっくり決めておくこと。 何のために、いつまでに、何を整えたいのか。これを持たずに行くと、相手の得意な方向に話が流れます。
この3つは、どれも専門知識ではありません。相談の前と最初の数分で、自分の側から確かめられることです。以下、順に見ていきます。
NISA・iDeCoの相談先には、種類がある
NISAやiDeCoの相談ができる場所は、一つではありません。そして、それぞれ成り立ち方が違います。ここを混ぜて考えると、「どこも同じようなことを言っている」と見えてしまう。大きく分けると、性質の違う相手がいます。
相談先は一つではない
一つは、金融機関の窓口です。口座もその場で開けて便利な反面、投資信託や保険といった手数料のある商品も扱っていることが多い。だから、相談の出口が自社の取り扱う商品に寄りやすい面があります。
もう一つは、相談料などで成り立ち、特定の商品を売ることを出口にしない型の相談です。そしてもう一つ、公的な窓口や一般的な情報提供のように、そもそも商品を売らず、考え方の整理だけを担う場所もあります。
業種でなく構造で見る
ここで大事なのは、相手を良い悪いで分けることではありません。「金融機関の窓口だから信用できない」といった、肩書きや業種だけでの決めつけとも違います。見るべきは業種そのものではなく、その相手が何で成り立っているか、という構造のほうです。
同じ窓口でも、口座開設の案内が中心の相手と、手数料商品の契約を出口にしている相手とでは、話の向く先が変わります。それぞれ収益構造が違うので、話が向かいやすい方向も違う、と知っておくことです。
相談先の型を一通り並べて比較したい方は、収益構造で相談先を整理した50代のお金の相談先はどこがいい?収益構造で見る4類型と選び方に地図としてまとめてあります。ここでは型を覚えるより、まず「相手によって話の向く先が違う」という前提だけ押さえておいてください。
「無料相談」で売られないための確認
NISA・iDeCoの相談は、「無料」をうたうものが特に多い分野です。始めるハードルが低く見えるので、つい入り口の手軽さで選びがちになります。ただ、無料相談の多くは、相談者から料金を取らない代わりに、金融機関や提携先からの手数料で運営されています。無料が問題なのではなく、その成り立ちを見ないことが問題です。
「なぜ無料か」を確かめる
だから、相談の最初に一言、確かめてみてください。「この相談は、どういう仕組みで無料なのですか」。まっとうな相手なら、ここで言葉を濁しません。
あわせて見ておきたいのは、商品を勧める前に、まず今の家計や目的を聞いてくれるか。状況を聞かずに「それならこの商品が」と始まる相手は、用意された出口にこちらを当てはめようとしている可能性があります。比較案や「今は始めない、という選択肢もあります」と言えるか、その場で契約を急がせないか、資料を持ち帰って検討できるか ── このあたりも、任せていい相手かの手がかりになります。
無料相談を見極める具体的なチェックは、無料FP相談は怪しい?確認すべき7つのポイントにまとめてあります。NISA・iDeCoに限らず使えるので、相談に動く前に一度目を通しておくと安心です。
相談する前に、自分で先に決めておくこと
相談で失敗しやすい人には、共通点があります。「相談すれば、何を始めればいいか決めてもらえる」と思って、手ぶらで行ってしまうことです。目的が空白のまま行くと、相手は自分の得意な方向、あるいは売りやすい方向に話を寄せます。それは相手が悪いというより、こちらが判断の軸を渡してしまっているからです。
順番を逆にする考え方
そこで効くのが、順番を逆にする考え方です。「何を始めればいいか」から入るのではなく、「自分は最終的にどうなっていたいか」から逆算する。何のために増やしたいのか。老後のいつごろ、どんな暮らしのために使うお金なのか。いつまでの話として考えているのか。ここまで細かく決める必要はありません。ざっくりでいい。ただ、この輪郭を自分の中に持っているかどうかで、相談の質はまるで変わります。
目的を持って行く人は、「相談で決めてもらう」のではなく「自分の目的に、この相手の話が合うか」を確かめに行きます。 主導権が自分の側にある。逆に、目的が空白だと、相手の提案がそのまま自分の目的になってしまう。始める前に、まず「何のために」を自分で決めておく。これが、いちばん効く準備です。
目的を先に置く効き目
もう一つ、目的を先に置くことには効き目があります。「NISAを始めること」「iDeCoに入ること」そのものが、いつの間にか目的になってしまうのを防げる、という点です。周りが始めた、記事で勧められていた、そういう理由で「とにかく始める」に向かうと、手段と目的が入れ替わります。
本来は「老後のこう暮らしたい」が目的で、NISAやiDeCoはそのための手段の一つにすぎません。目的が先にあれば、その手段が自分に合うのか、そもそも今の自分に必要なのかまで含めて、相談の場で落ち着いて考えられます。手段から入ると、この問い自体が抜け落ちてしまう。
NISA・iDeCoだからこその、注意点
もう一つ、NISAやiDeCoに特有の性質を知っておくと、相談との付き合い方がはっきりします。これらは一般に、本人が自分の名義で口座を開き、自分で積み立てていく仕組みとされています。誰かに丸ごと預けて運用してもらう、という形のものではありません。
相談は「入口の整理」まで
つまり、相談は「入口の整理」までで、その先を人任せにできるものではない、ということです。 相談相手がどれだけ親切でも、口座を持ち、積み立てを続けるのは自分自身です。だから相談に求めるのは、「代わりにやってもらう」ことではなく、「自分で判断できる状態まで整理を手伝ってもらう」ことになります。ここを取り違えると、相手に依存しすぎて、後で「こんなはずでは」となりやすい。
受け取り時期の制限
もう一点だけ。iDeCoは私的年金の制度であり、一般に、積み立てたお金を受け取れる時期には原則として制限があるとされます。細かい条件はここでは触れませんが、「いつでも自由に引き出せるわけではない」という性質は、始める前に知っておいた方がいい。始めてから気づくと、動かしにくくなるからです。数字や細かい条件は、相談の場や公式の情報で、自分の状況に照らして確認してください。
相談先の種類を理解したうえで、まず一度話を聞いてみたい場合は、年金・貯蓄の無料相談(ガーデン)のように年金・老後資金を入口にした窓口もあります。
NISA・iDeCoを「老後資金の中でどう位置づけるか」から相談したい段階では、この種の窓口が入口になります。相談は無料ですが、未成年・学生・無職の方は対象外とされています。すでに退職している場合は、申込の前に利用できるかどうかを確認してください。
面談は1時間程度が想定されています。
まとめ ─ 相談先は「無料」でも「有名」でもなく、構造で見る
NISAやiDeCoを始めたいと思ったとき、多くの人は「どの口座がいいか」「どう始めるか」から動き出します。ですが、その一歩手前に、誰に相談し、何を確認するか、という工程があります。ここを「無料だから」「有名だから」で選ぶと、後の判断がすべてその相手に引っ張られてしまう。
相談先を選ぶ物差しは、専門知識ではありません。相手は誰から報酬を得ているのか。無料はどう成り立っているのか。そして、自分は何のために始めたいのか。この3つを持っておくだけで、相談の主導権は自分の側に残ります。
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始め方を調べるのは、そのあとで十分です。目先の「無料」や「おすすめ」に飛びつく前に、まず「この相手は、誰から報酬を得ているのか」を一つ聞いてみる。そこから始めてみてください。
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