この記事の要点
- 相談前に「情報収集だけ」と伝えておく
- その場では即決せず、持ち帰って検討する
- 断ることは仕組みが想定内の反応
保険の相談に行ってみたい。けれど、その場の空気に流されて、断りきれないまま契約してしまうのではないか。そんな不安があって、相談そのものを先延ばしにしている方は少なくないと思います。あるいは、すでに一度相談を受けて、次にどう断ればいいか分からず困っている方もいるでしょう。この記事は、その両方に向けて、角を立てずに断るための具体的な言い方を整理したものです。
先にお伝えしておくと、断ることは特別なことでも、失礼なことでもありません。相談を受ける側にとっても、その場で断られることは日常的に起こる、想定の範囲内の反応です。なぜそう言えるのかは後半で触れるとして、まずは使える言い方から見ていきます。
先に結論 ─ 使える言い方は3つ
理由は後で説明しますが、先に型を置きます。次の3つを、相談の前・相談の途中・相談の終わりのそれぞれで使うと、断りやすさが変わります。
- 相談の前に、目的を先に伝える。 「今日は情報収集だけのつもりで来ました」と、相談の冒頭で自分から言っておく。これだけで、その場での契約を前提としない相談だと、最初にすり合わせができます。
- 相談の途中は、即決しないと決めておく。 その場でどれだけ良い提案に見えても、当日中に返事をしない、と自分の中で先に決めておきます。決めておけば、その場の空気に流されにくくなります。
- 相談の終わりは、定型句を用意しておく。 「持ち帰って検討します」の一言を、あらかじめ用意しておきます。理由を細かく説明する必要はありません。この一言で相談を終えて構いません。
なぜこの3つで足りるのか、そしてなぜ断ることに後ろめたさを感じなくていいのかを、この先で順に見ていきます。
なぜ断りにくいと感じるのか
断りにくさの正体は、多くの場合「相手の時間を使わせた」「せっかく説明してもらったのに」という気まずさだと思います。ここで押さえておきたいのは、これは相談員個人の圧が強いから起きているとは限らない、ということです。相談という場は、話を聞いて、提案を受けて、その場で何かしらの反応を返す、という流れになりやすい構造を持っています。
型を用意しておく理由
断りにくさは、多くの場合その場の流れが生む自然な感覚であって、相談員の意図や人柄の問題とは切り分けて考えられます。だからこそ、感覚に頼るのではなく、先に言い方を型として用意しておくことが有効になります。
型1 ─ 相談前に「今日は情報収集だけ」と伝える
いちばん効果があるのは、相談が始まる前、できれば申し込みや受付の時点で、目的を先に伝えておくことです。「今日は情報収集のために来ました」「まだ入るかどうかは決めていません」と、最初の一言で伝えておくと、相談員の側もその前提で話を進めやすくなります。
先に伝えることには、もう一つ意味があります。相談が進んでから急に「今日は決めません」と言うより、最初から情報収集目的だと共有しておくほうが、双方にとって話が組み立てやすいということです。相談の目的をすり合わせることは、相談を受ける側にとっても必要な情報であり、遠慮して言わないほうが、かえって話がかみ合わなくなります。
型2 ─ その場で即決しないと、あらかじめ決めておく
相談の場に入ってから「契約するかどうか」を考え始めると、良い提案に見えるほど判断が難しくなります。だから、相談の場に入る前に「今日は契約の可否を決める日ではない」と、自分の中で先に決めておきます。
これは提案の良し悪しを判断しないという意味ではありません。話を聞いて、資料を持ち帰り、家で改めて考える。その順番を守ると決めておくだけです。順番を先に決めておけば、その場の説明がどれだけ丁寧でも、判断のタイミングを自分の側に残せます。
型3 ─ 「持ち帰って検討します」を、そのまま使う
相談の終わりに使う言葉は、凝ったものである必要はありません。「持ち帰って検討します」「一度、家族と相談します」。この程度の一言で十分です。
理由を説明しない
大切なのは、理由を細かく説明しようとしないことです。「保険料が高いから」「他も見てみたいから」と理由を挙げ始めると、その理由に対する再提案を招きやすくなります。定型句は、理由を説明する場ではなく、相談を終える合図として使うものだと考えておくと、余計なやり取りを増やさずに済みます。
断ることは、相談を受ける側にとっても想定内の反応
ここまでの3つの型は、相談員に負い目を感じながら使うものではありません。断られることは、相談を受ける側にとっても、あらかじめ組み込まれている前提だからです。
保険の募集にあたっては、保険会社や募集人が顧客の意向を把握し、それに沿った提案や説明を行い、契約の内容が顧客の意向と合っているかを顧客自身が確認できる機会を設けることが求められる仕組みがあります。つまり、提案を受けた側が「この内容は自分の意向と合っていない」と判断し、契約に進まないという結果も、この仕組みが最初から想定している選択肢の一つです。
断るという反応は、制度の外側にある特別な行動ではなく、この確認の機会が正しく機能した結果の一つだと考えられます。
それでも不安なら ─ 契約してしまった後の仕組みも知っておく
型を用意していても、その場の流れで契約書に署名してしまうことはあります。そうなった場合に備えて、契約後にも申込みを撤回できる一般的な仕組みがあることを知っておくと、心理的な備えになります。
新しく保険に加入する契約については、関連する書面を受け取った日と申込みをした日のうち、遅いほうの日から数えて8日を経過するまでは、申込みの撤回や契約の解除ができる仕組みが法律上用意されています。これは基本となる期間で、会社によっては10日、15日、30日など、これより長い期間を設けている場合もあります。
ただし、医師の診査を受けた契約や、保険期間が短い契約など、対象外となる条件がある場合もあるため、具体的な期間や対象範囲は契約する保険会社に確認する必要があります。
あくまで最後の手段
この仕組みがあることは、「その場で断れなくても、後から取り返しがつかないわけではない」という安心材料にはなりますが、あくまで最後の手段です。基本は、ここまでの3つの型で、その場で気持ちよく断ることを目指してください。
まとめ ─ 断ることは、相談のマナー違反ではない
保険相談を断ることに、後ろめたさを感じる必要はありません。相談の前に目的を伝え、その場では決めないと決めておき、終わりには定型句で締める。この3つの型があれば、角を立てずに相談を終えられます。
そして、断るという選択そのものが、相談を受ける側の仕組みの中でも想定されている反応です。だから、断ることに気を遣いすぎず、まずは情報収集のつもりで相談の一歩を踏み出してみてください。
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